「できる」を形にする

最先端テクノロジーを投入されたモデリングとシミュレーションでお客様の最適な意思決定を実現

2020年11月のSM-3ブロックIIAミサイルの試験は、想定されていた通り大きな成功を収めました。

ハワイ沖で誘導ミサイル駆逐艦USSジョン・フィンから発射されたSM-3ブロックIIAミサイルは、大気圏外から再突入し大陸間弾道ミサイルの目標を破壊しました。

実際の世界では、この種の試験が行われるのは初めてでしたが、実はデジタルの世界ではすでに何回も繰り返し行われていたのです。

レイセオン・ミサイルズ&ディフェンスの技術者は、人工知能(AI)や機械学習、モデリング、シミュレーションを使い、2020年11月の実試験に先立ち、何カ月にもわたって繰り返しデジタル上で迎撃ミサイルの試験を実施してきました。

レイセオン・テクノロジーズの一部門であるレイセオン・ミサイルズ&ディフェンスの社長、ウェス・クレマーは次のように述べています。「実証実験を行うずっと前から成功を信じていました。モデリングとシミュレーションを通して得られた優れたインサイトのたまものと言えるでしょう」

実試験前のシミュレーションは、AIや機械学習の活用法のほんの一例に過ぎません。レイセオン・ミサイルズ&ディフェンスは、製品のデータを自ら評価し実世界のシナリオにおけるパフォーマンスを予測することで、お客様がより適切に調達に係る決定ができるよう支援しています。

例えばSM-3の試験では、過去の試験からデータを抽出しそれをモデリングとシミュレーションに入れ込みました。

コロラド州のコロラド・スプリングスにあるシュライバー空軍基地にミサイル防衛統合作戦センターがあり、そこで活動するレイセオン・ミサイルズ&ディフェンスの飛行試験チーム所属のダグ・フィーラーは次の通り述べています。「私たちは、迎撃ミサイルが飛行中どのように能力を発揮し、狙ったポイントに正確に命中するまでの全軌跡を高精度で予測します。そして実際、その予測は的中したのです」

お客様が本当に求めていることを見つけ出す

 

すべての工程はたいていの場合聞くことから始まります。レイセオン・ミサイルズ&ディフェンスではまずチームがお客様のご要望に耳を傾けます。

レイセオン・ミサイルズ&ディフェンスの所要・能力担当副社長であるボブ・フィッツパトリックは次の通り述べています。「私たちが本当に追及していることは、話し合いを通じて、お客様と打ち解け、実際に何を必要としているのか、何に悩んでいるのかを知り、そして、問題解決の手助けとなれるよう、私たちレイセオンに何ができるのかを示すことです」

モデリングには、「イノベーター」と呼ばれる専門家チームによるお客様の所要の検証が欠かせません。物理的条件や設計詳細といったパラメーターを特定して、シミュレーションをしながら実際の行動に落とし込んでいきます。

購入前のお試し

 

実際にハードウェアを作り上げ評価するにあたって、モデリング、シミュレーションを実施することには、2つの大きな利点があります。1つは、費用が安いということ、もう1つは、はるかに速く物事が進められるということです。これにより、お客様の要望が変更した際にも迅速に対応できます。「AIや機械学習は、当社のモデリングとシミュレーションのフレームワークには必要不可欠です。新たな飛行試験、あるいは実験を行う度に、前回と少しづつ内容が異なってきます。それはつまり、当社とお客様に対し、どんどんと多くの新しい発見があるということです」

例えば、現代は極超音速の脅威が進化しており、敵対国がどのような武器を持っているか、何をし得るのかはっきりと分からないという時代です。モデリングとシミュレーションにより、技術者は何千ものバリエーションを検討して、最も有効な対策を確かめることができます。「私たちは、視覚的に脅威シナリオを一つひとつご説明し、システムを購入したりアップグレードをすると何ができるようになるのかということをお示しします。私たちは、お客様自身が気付いていない選択肢を提示しているのです」

このアプローチは、アメリカンフットボールの監督が過去の試合映像を研究する姿に例えることができます。異なる能力を持つ異なる選手の組み合わせが、試合にどのような良い影響・悪い影響があるのか、相手チームに対してはその弱みをつくのか、はたまた、真っ向から迎え撃つのか、監督は考えながら自分たちの体制を整えます。同じように、当社は、いくつもの行動をシミュレーションし、幾種類ものシステムを巧みに活用することで、最適な対処方法を決定します。「完璧なミサイル、完璧なセンサーを求めることは誰にも出来ません。だからこそ、必ず、合成された戦場で保有できる装備品を運用し、それらがどのように連動するのかを見極める必要があります。これは、完璧を求めるあまりの過剰投資を防いで、お客様の投資を最大化することにつながります」とフィッツパトリックは言います。

「システム・オブ・システムズ」

 

こうした新世代のソフトウェアの登場により、互いに連携した最新のシステムを装備し、あらゆる作戦を実行できる部隊をより確実に揃えることが可能となります。

レイセオンは、キルチェーン全体をカバーしています。キルチェーンとは、迎撃や反撃といった1つの作戦行動で用いられるすべてのシステムを表す軍事用語です。「センシングから、通信、指揮統制、攻撃に至るまで、すべての相互作用をデジタル上でシミュレーションすることで、当社は『システム・オブ・システムズ』の有効性を数値化できます」

モデリングとシミュレーションを利用することによって、レイセオンでは新しいシステムを既存のシステムとどのように統合させるかを、海外・国内の隔たりなく検討することが可能です。「これは、個々のピースを使ってパズルを完成させるということだけではなく、パズル全体が既存の、そして将来のシステムや能力をいかに活用し戦局を有利に進められるかをお客様が理解するのを手助けするという話でもあります。」